2010年05月23日

クールー

クールー(Kuru)は、パプアニューギニアの風土病プリオン病の一種。クロイツフェルト・ヤコブ病の類縁疾患に含まれる。

クールーは、ニューギニア島南部高地に住むフォレ族の間で1950年代から60年代に広がっていた病気である。死者の弔いに人肉を食べる儀式が原因で、プリオンが感染したと考えられている。この儀式では、親族が死者の組織を食べることで故人に敬意を表するものとされ、特に死者の脳や内臓が与えられた女性と小児にクールーが多発した。

1960年以降、フォレ族を統治していたオーストラリアが人肉食の風習を止めるように命じたために、人肉を食することは終わったが、2000年を境に次々と奇病が発生し、今でも年1〜2人の死者が発生。潜伏期間は最長50年に及ぶことがわかってきた。

●症状

クールーは現地の言葉で「震える」の意味で、クールー病にかかると手足が震え、方向感覚を失って歩けなくなる。痴呆の症状が出て、話したり物をかむこともできず、発症後1年程度で死に至る病気である。

症状には、筋肉の協調運動の消失、歩行困難が含まれる。腕や脚は硬直し、筋肉の震えが起こる。異常な不随意運動で、手脚や体が繰り返しクネクネと動いたり、引きつったりする。感情の起伏が激しく、悲しんでいると思えば突然大声で笑い出したりする。そして痴呆を起こし、最終的には話せなくなり周囲に対して無反応になる。ほとんどの人が、発病から約3〜24カ月後に、肺炎褥瘡(床ずれ)による感染症を起こして死亡する。

異常プリオン蛋白質が中枢神経に沈着することで引き起こされているとされる。

●クールー病の研究

ダニエル・カールトン・ガジュセックは、パプアニューギニアの風土病であるクールーの研究でノーベル賞を受賞した。この病気は、ニューギニア島南部高地に住むフォレ族の間で1950年代から60年代に広がっていた病気である。ガジュセックは、この病気の流行と、フォレ族のカニバリズムの習慣を結びつけた。そしてこの習慣がなくなると、クールーは一世代のうちに完全になくなった。

ニューギニア島のフォレ族の地区を担当する医師であるビンセント・ジーガスが、この病気のことを初めてガジュセックに知らせた。ガジュセックは、「笑い病」としても知られるこの地特有の神経病について初めて医学的に研究を行った。彼はフォレ族とともに暮らし、彼らの言葉や文化を学びつつ、クールーの犠牲者の解剖などを行った。ガジュセックは、この病気は死者の脳を食べるというフォレ族に伝わった儀式によって感染しているという正しい結論を導いた。ガジュセックは、クールーを伝染させる原因物質は特定できなかったが、後の研究によりプリオンと呼ばれる悪性のタンパク質がクールーの原因だと判明した。

●関連項目




posted by kamiryu07 at 19:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 病名カ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。