2007年11月15日

ウイルス性肝炎

ウイルス性肝炎(ウイルスせいかんえん、Viral hepatitis)とは、肝炎ウイルスが原因の肝臓の炎症性疾患のことを指す。

病態として、急性に発症する急性肝炎と肝の炎症が一定期間以上持続する慢性肝炎および急性肝炎の劇症化した劇症肝炎に分けられる。

●原因

肝炎を主症状として起こすものは以下のように○型肝炎と一般的に言われる。しかし、ウイルス肝炎を起こすウイルスは、これに限らず多種多様である。

●種類

主なウイルス性肝炎

肝炎の種類 原因肝炎ウイルス 発見年度 形態
A型肝炎 A型肝炎ウイルス 1973年 RNA
B型肝炎 B型肝炎ウイルス 1964年 DNA
C型肝炎 C型肝炎ウイルス 1989年 RNA
D型肝炎 D型肝炎ウイルス 1977年 RNA
E型肝炎 E型肝炎ウイルス 1980年 RNA
F型肝炎 F型肝炎ウイルス 1994年 RNA
G型肝炎 G型肝炎ウイルス 1995年 RNA
TT型肝炎 TT型肝炎ウイルス 1997年 RNA

このうち、日本での肝炎の原因のほとんどはA型、B型、C型である。 主な感染経路はA型・E型は汚染された食べ物や水で、B型は血液媒介・親子(垂直)・性行為(水平)、C型はウイルスの混入した血液を介したもの(輸血や集団予防接種の注射針の回し射ち、刺青など)である。C型での性行為での感染、母子感染はまれであるとされている。アメリカではB型肝炎の予防接種を受けることが義務付けられている。垂直感染したB型肝炎ウイルスは感染者肝臓や血液中に長時間とどまり、キャリアとなる。キャリアの10〜20%は生涯のどこかの時期に慢性肝炎を発病するので、フォローアップが必要である。これは病気にしか保険適応がない一般医療機関の適応にはならないので、そのような機関としてキャリアクリニックがある(1985年より開設された北海道赤十字血液センター内のキャリアクリニックなど)。

ほとんどのC型肝炎感染者は医療行為が原因で感染と推測される(上記の注射針が主因と考えられる)。 非A非B型(現在のC型)肝炎ウィルスに感染すると肝癌などに進行する危険性が疫学的に示されている。

ミドリ十字社(現田辺三菱製薬)が製造販売していたフィブリノゲン製剤の投与によるC型肝炎感染(フィブリノゲン問題)も、社会問題になっている(薬害肝炎)。米国では、食品医薬品局(FDA)が、B型肝炎感染の危険性があること及びフィブリノゲン製剤の臨床効果を評価するのは困難であり有効とされる適応症がほとんどないことを理由に、1977年12月、フィブリノゲンと同成分の製剤の製造承認を取り消していた。日本でも、1979年には、一部の研究者がこうした事実を指摘していた(国立予防衛生研究所血液製剤部長の安田純一著「血液製剤」)。また、ミドリ十字社も、1978年1月に、FDAによるフィブリノゲン製剤の承認取消が掲載された米国連邦広報を入手し、社内で回覧していた。にもかかわらず、旧厚生省が初めて実態調査を指示して自主回収が始まったのは、青森県三沢市における肝炎の集団感染が発覚した1987年からであり、完全に回収されたのは実に10年間以上かかった。

その他のウイルス性肝炎

よって、肝炎を起こした場合には、少なからずこれらが原因となることもあるため、上記のようなウイルスもチェックする必要がある。

●症状

  • 急性肝炎:全身倦怠感、発熱、筋肉痛黄疸、肝腫大、食思不振など。
  • 慢性肝炎:自覚症状に乏しい事が多い。B型、C型肝炎の場合、徐々に肝臓の繊維化が進み、肝硬変に至り肝癌が発生することがある。

●検査

  • 血液検査
    • いずれの種類の肝炎でも、肝臓の傷害の程度をAST(=GOT),ALT(=GPT)、ビリルビン、アルブミン値、ヘパプラスチンテスト、PT、aPTT、アンモニア、フィッシャー比、BTR、ICG15分値などで評価する。
    • A型肝炎ではHA抗体
    • B型肝炎ではIgM-HBc抗体、HBs抗原/抗体、HBe抗原/抗体、 HBV-DNA定量、HBVポリメラーゼ
    • C型肝炎ではHCV抗体、HCV-RNA定性/定量、HCV-Core抗原定量、HCVジェノタイプ などがある。
  • 画像診断では、エコー、CT、MRIなど

●治療

  • 急性肝炎:安静などの保存的治療
  • 慢性肝炎:抗ウイルス療法など。
    • B型慢性肝炎においては原理的に根治療法は極めて難しく、また長く抗ウィルス療法も無かった。2000年末にエイズ(HIV)用に開発されたラミブジン(3TC、製品名ゼフィックス)が保険適用となり、最初のB型肝炎用抗ウィルス薬として発売された。これは、ウィルス(HBV)量を低減させ、肝機能を正常値以内まで下げる効果がある一方で、服用開始後2〜3年でラミブジン耐性ウィルスが発生しやすく、再び肝機能が悪化する例が少なくなかった(エイズでも見られるように、一般に抗ウィルス薬は単剤投与ではウィルスの自己防御作用による耐性株の発生を避けにくく、多剤投与によってこれを防ぐ場合が多い)。2006年初頭にアデフォビル(製品名ヘプセラ)が保険適用となり、これもウィルス(HBV)量を低減させる強い効果がある。当面は、B型慢性肝炎に対する治療としてはラミブジンとアデフォビルの複剤投与が主体となると考えられる。
    • エンテカビル(製品名バラクルード錠)2006年7月認可され、保険適応となった。この薬剤は単剤投与にてウィルス(HBV)量を低減させる強い効果がある。
    • C型慢性肝炎においてはインターフェロン(α or β)、PEG-インターフェロン、リバビリン+(インターフェロン or PEG-インターフェロン)といった治療法がある。ウイルス量・型、年齢、性別、貧血の程度などにより治療法を選択する。

●予後

  • 急性肝炎:ほとんどの場合数カ月程度で症状はおさまる。まれに劇症化(劇症肝炎)することがある。炎症が持続し慢性化する事もある。
  • 慢性肝炎:肝硬変に移行する事がある。B型肝炎では免疫機構が確立する2〜3歳以前に感染した場合に慢性化{実際には母子感染による場合がほとんどである}し、それ以降の感染では急性B型肝炎を発症した後、抗体の生成によるウィルスの根絶により完治する。C型肝炎では慢性化することが多い。
  • 肝癌:B型肝炎では推定10%前後、C型肝炎では推定25%前後と高率に肝癌を発症する。
  • 腎合併症: B型肝炎ではセロコンバージョンの際、膜性腎症を合併することがある。C型肝炎ではクリオグロブリン血症を合併し、膜性増殖性腎炎を発症することがある。


posted by kamiryu07 at 10:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 病名ア行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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