薬物依存症(やくぶついそんしょう(〜いぞんしょう)、Substance Dependence)とは、精神疾患の1つで、依存症の中でも脳内麻薬多量分泌の「過程への依存」(ギャンブル依存症、ショッピング依存症など)や「人間関係への依存」(共依存など)と違い、「物質に対する依存」に分類され、特に脳神経の神経伝達物質と報酬系などに作用する薬物による依存の場合が多い。
医学上は、アルコールやニコチンなど、日本の法律で使用が禁止されていないものによるものも薬物依存症に含められる。また「薬物」を法制上禁止されている薬物という意味合いに捉え、特に麻薬や向精神薬、覚せい剤などによる薬物依存症のことを指す言葉として用いられることもある。
薬物依存の症状としては、精神的依存と身体的依存がある。両者の違いは依存症の項に詳しい。
また、薬物依存のもう一つの重要な要素として脳内麻薬過剰分泌による耐性(薬物耐性)がある。依存性薬物の中には、連用することによってその薬物が効きにくくなるものがあるがこれを薬物に対する耐性の形成と呼ぶ。薬物が効きにくくなるたびに使用量が増えていくことが多く、最初は少量であったものが最後には致死量に近い量を摂取するようになることすらある。このため、薬物の依存性の強さにはこの耐性の形成も大きく関わっているとされる。耐性が形成されやすい薬物として、アンフェタミン類、モルヒネ類(オピオイド類)、アルコールなどが挙げられる。
薬物依存症は、意志や人格に問題があるというより、依存に陥りやすい脳内麻薬分泌を正常に制御できない状況が引き起こした「病気」である。「まだ大丈夫」と問題性を否認しているうちに、肉体・精神・実生活を徐々に破壊していく。家族などの周囲をも巻きこみながら進行し、社会生活や生命の破滅にいたることも稀でない。また、以前は薬物中毒と言われたこともあるが、差別用語(薬物で誘発された精神病は、重篤になりやすい)にあたることから現在ではほとんど使われていない。
●治療とリハビリテーションのための社会体制の整備
薬物乱用を早期発見し、早期治療に結びつけるため、国連薬物犯罪事務所(UNDOC)は次の社会体制整備を必須としている。
- 薬物乱用を早期発見し、治療施設につないでゆく。
- 医療施設のない地域にも活動を拡大していく。
- 医療者・ソーシャルワーカー・カウンセラーらのチームによる精神的・社会的介入。
- カウンセリング、回復のための薬物治療、復職など社会復帰への支援。
●関連項目



