性依存症(せいいそんしょう、せいいぞんしょう、Sexual Addiction)は性的な行動に対する嗜癖であり、精神疾患である依存症の一つである。
●概要
「セックス依存症」という呼称が用いられることもあるが、依存する対象は実際に相手のある性交渉だけでなく自慰行為やポルノへの過度な耽溺や収集、強迫的な売買春、乱交、露出や覗き行為、性的ないたずら電話やインターネットを介したアダルト・チャットなど全ての性的な活動が考えられる。依存症患者は性的な興奮や刺激に溺れることが習慣化し、徐々に自己コントロールを失う。ギャンブル依存(賭博依存)や買い物依存などと同じく「行動(process)への依存」に分類される。
性依存症は1970年代から主にアメリカで研究されてきたが、1998年にクリントン大統領の不倫スキャンダルが性依存症に起因したものであるという説が取り上げられて以来、一般での認知度が急激に高まった。近年ではアルコール依存や薬物依存、ギャンブル依存と並び代表的な依存症であるという考え方が広まりつつある。
性依存症であること、または過去に性依存症の治療を受けたことを公表している著名人には、ビル・クリントンのほかにハリウッドの俳優であるマイケル・ダグラスやロブ・ロウなどがいる。
●症状による影響
過度な性行動が続くと体に負担を与えるが、それ以上に問題なのは無軌道な性交渉で性病へ感染したり、望まない妊娠を引き起こす可能性である。性依存症患者の多くが、その依存的な性行動においてプロテクションをほとんど、場合によっては一切行っていないと思われる。また、性依存が深刻な状態にある患者は安全を考慮せずに危険な区域や状況に足を踏み入れる傾向があり、例えば非合法な売買春などに絡んで事故や犯罪に巻き込まれ怪我を負うなどの例もある。 不倫行為や性犯罪が原因で社会的な信用や地位を失ってしまったり、友人や家族が去っていったケースも少なくない。
●日本国内における性依存症
日本国内において性依存症はいまだ認知度が低く、「セックス中毒」といったような興味本位の記事として取り上げられることが多い。医師やカウンセラーの中にもそうした研究が行われていることすら知らない者がおり、患者が病院を訪れても思うような治療やアドバイスが受けられないこともある。
●性依存症の定義における論争
そもそも「性的な行動への依存」を依存症のひとつとして位置づけるのかどうか、また、どのあたりに「正常」と「依存症」の境界を引くかなどで、長い間論争が続いている。「依存症」ではなく、強迫障害である、行動制御障害であるという論もある。また、性依存症という概念を一切認めないとする考えを持つ人々も存在する。定義においてはたしかに慎重な議論が必要だが、現実に今、性行動への強迫的な依存に悩んでいる人々が多数実在し、治療を求めていることを忘れてはならない。
●自助グループ
その他の依存症と同じく、性依存症にも患者による自助グループが存在する。 欧米では州ごとに多数存在すると見られる。 国内でも小規模ではあるが、地域ごとにグループがあり、定期的に集まるなどして個々に快復へ向けた活動を続けている。
●多重嗜癖の問題
性依存症患者にも、他の依存症患者と同様に多重嗜癖に陥っている者が少なくない。 例:アルコール依存と性依存、恋愛依存(人間関係依存)と性依存など
●性犯罪と性依存症との関係
性依存症が性犯罪にどの程度関係しているのかは、いまだ具体的なことは研究の途上にある。しかし、
- 性犯罪者の中には、同一の性犯罪を強迫的に繰り返し犯す者がいること
- 性犯罪者の更生プログラムに依存症治療に関する要素が取り入れられていること
- 性犯罪の前歴者の中に、性依存症の治療を受けて再犯防止につなげているケースがあること
は、特筆すべきことであると思われる。
性依存症患者の大半は犯罪行為とは一切関係の無い範囲でその性行動を行っているので、性犯罪を依存症という視点からだけ根拠付けるのには無理がある。また、依存症の症状に合致しない性犯罪もある。よって性犯罪には、元からの反社会的な傾向や認知の歪みなど複数の問題が絡んでおり、性依存はそれら数ある要素の一つであるというのが現在最も多く取り入れられている視点である。性依存症患者は皆、性犯罪を引き起こすといったようなステレオタイプな偏見からは、患者たちは守られる必要がある。
●代表的な研究者
ビル・クリントンのセクシュアルハラスメント・ケースに関わった専門家として医学博士のパトリック・カーンズ(Patrick Carnes, Ph.D.)があげられる。
●関連項目




定義についての議論があることと『現実に今、性行動への強迫的な依存に悩んでいる人々が多数実在し、治療を求めていることを忘れてはならない。』という記述に、当事者として胸に刺さるものがありました。
引用、ご紹介させていただきます。
ありがとうございました。