低カリウム血症(ていカリウムけっしょう、Hypokalemia)は、血清中のカリウム濃度が低い状態である。
●原因
カリウムの摂取不足や、細胞内カリウムとの平衡が細胞側へ傾いたり、腎臓からのカリウム排泄が亢進する事によって起こる。
●代表疾患
- 原発性アルドステロン症
- 鉱質コルチコイドの異常な分泌によって、血清ナトリウム濃度が上昇する代わりに腎臓からのカリウム排泄が亢進する。
- 腎血管性高血圧
- 腎臓の血管に障害が起こって腎血流が低下し、これを体全体の血圧の低下と勘違いした腎臓が血圧を上げるホルモン : レニンを分泌して、鉱質コルチコイドが駆動されて、血清ナトリウム濃度が上昇する代わりに腎臓からのカリウム排泄が亢進する。
- クッシング症候群
- 糖質コルチコイドの鉱質コルチコイド作用によって、血清ナトリウム濃度が上昇する代わりに腎臓からのカリウム排泄が亢進する。
- バーター症候群
- 腎臓でのNa+-K+-2Cl-共輸送体の機能不全によってカリウム排泄が亢進する。
- ギテルマン症候群
- 腎臓の遠位尿細管におけるサイアザイド感受性NaCl共輸送体の遺伝子異常による。
- リドル症候群
- 腎臓でのアミロライド感受性ナトリウムチャンネルの抑制不全によってカリウム排泄が亢進する。
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
- 抗利尿ホルモンの異常な分泌によってカリウムに比べて相対的に水の排泄が弱まり、血清カリウム濃度が低下する。
●K欠乏量
基本的に高カリウム血症とアシドーシス、低カリウム血症とアルカローシスが連動するという経験則がある。数値的なことは言うと、pHが0.1下がると血清カリウムは0.5上がるといわれている。そのためカリウム欠乏量は酸塩基平衡も一緒に考えなければならない。
以下にpHが7.4の場合のカリウム欠乏量は以下のように纏められる。
| 血清K(mEq/l) | K欠乏量(mEq) |
|---|---|
| 3.5 | 100 |
| 3 | 200 |
| 2.5 | 400 |
もしpHが7.3でKが3.5mEq/lであれば、アシドーシスを補正するとKが200mEq不足ということになる。大体電解質の補正は3日くらいで行うということと、カリウムの補正につかうKCl製剤が1A で40mEqということを考慮すると大体一日1Aを輸液に混ぜればよいこととなる。
●Kの人体内のふるまい
維持輸液で必要なカリウムは一日あたり20〜40mEqであるが、経口摂取では一日50〜100mEq必要であるといわれている。正常人ではKは摂取量と同じだけ尿中に排出されることが知られている。即ち、腎障害がなければ尿中カリウム量からカリウム摂取量を予測することができる。尿中のカリウム排出の調節はCCT(皮質部集合管)で行われる。ここはカリウムの尿中への分泌を行う器官であり、体内のカリウムが過剰なときはカリウム分泌を促進させホメオスタシスの維持を行う。CCTでのカリウム分泌量調節因子としては以下のものが知られている。
- CCTへ到達する尿量
- CCTへ到達するナトリウム量
- アルドステロン
- pH
- カリウム摂取量
低カリウム血症の場合はそれが腎からの排出亢進によるものか、摂取不足によるものかを区別する。これは部分排泄率を用いることで簡単に区別することができる。カリウム部分排泄率(FEK)は通常12.5〜25%である。血清カリウムが低下しており、部分排泄率が増加していれば腎からの排出亢進、部分排出低下をしていれば摂取不足であると判断できる。
●関連項目


