高カリウム血症(こうカリウムけっしょう、Hyperkalemia)は、何らかの原因により血中のカリウムの濃度が上がってしまう電解質代謝異常症のひとつである。災害時、挫滅症候群(クラッシュシンドローム)として発症する場合もある。カリウムの血中濃度が関係している症状に低カリウム血症がある。
●症状
カリウムは本来は体内に必要不可欠なミネラルのひとつである。しかし、血中濃度が異常にあがりすぎた場合、人体に重篤な悪影響を及ぼす。主な症状は、
などがあけられる。そのまま放置しておくと重篤な心不全となり、心停止に至る可能性がある。ECF(細胞外液)のK濃度が6.0mEq/lを越えると心電図異常(テント状T波、P波の消失、QRS幅延長)が見られ、7〜8mEq/lになると心停止に至る。高カリウム血症は死に至る病態である。その死因は不整脈であるので疑ったら心電図検査を行うべきである。心臓が無事ならば高カリウム血症は緊急を要する病態ではない。
●原因
- 肝機能、腎機能等が何らかの原因で本来の機能を果たせていない場合、尿によるカリウムの体外排泄が正常に行われていない。
- カリウムを多く含む食品の過剰摂取。
- 細胞内に存在するカリウムが何らかの原因で細胞外への流出。細胞内からカリウムが流出する原因は以下のものが挙げられる。
●治療法
短時間で重篤な症状に陥りやすいので、まず迅速に血中のカリウム濃度を下げる必要がある。高カリウム血症で最も致命的なのは不整脈の発生である。特に心室頻拍、心室細動には気をつけなければならない。大抵の場合は生化学的検査では時間がかかりすぎてしまうので、心電図による高カリウム血症の所見によって治療方法を決定する。
- 不整脈の予防
- 高カリウム血症で致死的なのは不整脈であるので、それさえ防げれば、しばらくは時間を稼ぐことができる。そのための治療としてカルシウム製剤の投与を行う。血中カルシウム濃度が高いと心筋は不整脈を起こしにくいということが知られており、これを心筋保護作用という。処方としてはグルコン酸カルシウム(カルチコール)を10ml(850mgを溶解した液)を3〜4分かけて静注する。
- 高カリウム血症自体を治す
- 血中カリウムを低下させるには、重曹(メイロン)を50ml投与させるアルカリ療法がよく知られている。一部の例外を除き、アシドーシスと高カリウム血症、アルカローシスと低カリウム血症は並行するという経験則があり、それに基づくものである。これは5分以上かけて緩徐に静注する。GI療法といって、グルコース・インスリン併用投与を行う治療がある。これは、20%グルコース液200mlと速効性インスリン30単位を投与するものである。他にも陽イオン交換樹脂投与や血液透析を行うこともある。
- 原疾患の治療
- 緊急的な状況を上記の方法で防げたら、原因を調べてそれぞれの原因(肝不全、腎不全、カリウム過剰摂取等)に見合った処置を行う。
●Kの人体内のふるまい
維持輸液で必要なカリウムは一日あたり20〜40mEqであるが、経口摂取では一日50〜100mEq必要であるといわれている。正常人ではKは摂取量と同じだけ尿中に排出されることが知られている。即ち、腎障害がなければ尿中カリウム量からカリウム摂取量を予測することができる。尿中のカリウム排出の調節はCCT(皮質部集合管)で行われる。ここはカリウムの尿中への分泌を行う器官であり、体内のカリウムが過剰なときはカリウム分泌を促進させホメオスタシスの維持を行う。CCTでのカリウム分泌量調節因子としては以下のものが知られている。
- CCTへ到達する尿量
- CCTへ到達するナトリウム量
- アルドステロン
- pH
- カリウム摂取量
高カリウム血症の場合はそれが腎障害による排泄低下によるものか、過剰摂取によるものかを区別する必要がある。これは部分排泄率を用いることで簡単に区別することができる。カリウム部分排泄率 (FEK) は通常12.5〜25%である。血清カリウムが上昇しており部分排泄率が増加していれば摂取過剰であり、低下していれば腎からの排出の低下である。これは摂取量が多ければ本来尿中排出量は増加し、少なければ低下するというホメオスタシスの直感に矛盾しない。



