2008年02月25日

低ナトリウム血症

低ナトリウム血症(ていナトリウムけっしょう、英:Hyponatremia)とは血中ナトリウム濃度が135mEq/l以下になることをいう。実際にはNaを補充して治す病態は非常に少ない。血清Naの基準値は135〜145mEq/lであり、尿中Na量は4〜8g/日である。Naの摂取経路は経口および輸液であり、排出はレニン・アンデオテンシン・アルドステロン系による調節と心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)によって決定されている。

●低ナトリウム血症の分類

臨床上は以下の4つのタイプが観測されている。

細胞外液不足(欠乏性低ナトリウム血症)
水欠乏を上回るナトリウム欠乏が起こっている病態である。腎性体液喪失として尿細管障害やアジソン病、利尿薬の投与などでおこる。腎外性体液喪失としては嘔吐、下痢、経管ドレナージなど消化管からの喪失や、熱傷、膵炎腹膜炎といったサードスペースへの喪失などがあげられる。この場合は腎前性腎不全となる。
水過剰(正常循環血液量性低ナトリウム血症)
このカテゴリーで最も多いの高齢者の癌患者などでおこるSIADH、その他甲状腺機能低下症、ACTH単独欠損症、多飲症、reset osmostatなどがあげられる。尿中ナトリウム濃度が20mEqを超えているのが特徴である。
細胞外液過剰(希釈性低ナトリウム血症)
ナトリウム過剰を上回る水過剰がある場合である。多くは浮腫を伴っている。腎不全やその他の浮腫性病変として、うっ血性心不全、肝硬変ネフローゼ症候群などがあげられる。日常診察で最も多いのはこのタイプである。
偽性
脂肪などの増加による見かけ上の水過剰。高脂血症や高血糖で起こることがある。

●低ナトリウム血症の治療

  • ナトリウム欠乏の場合は塩化ナトリウムを補充する。48時間以内に25mEq/l以上のナトリウム補正をすると橋中心髄鞘崩壊症(CPM)を起すことがある。実際に純粋なNa不足は非常に少ない。
  • 水分過剰の場合は水分制限を行う。特にSIADHの場合は重要である。
  • 細胞外液過剰の場合は、厳重な水制限、水排出促進、ナトリウム摂取制限やナトリウム排出促進が必要である。水制限でうまくいかないとき、例えば、痰が絡んで水を制限すると呼吸不全になりそうなときは、レダマイシン、炭酸リチウムなどを用いて尿崩症を起してみたり、副腎ステロイドを用いるという裏業も存在する。しかしそれはどこまでの治療を要求するのかという社会的な問題もある。

●低ナトリウム血症の診断

治療法がわかってこそ、診断には意味がある。まずは血漿浸透圧、尿浸透圧を測定する。次に病歴から急性か慢性かを診断する。急性であったら治療に緊急性が生じてくる。次に原因の詮索をする。

原因として考えられるもの。
下痢、嘔吐などの体液喪失
バソプレッシン(ADH)分泌量を調べる。
薬物、ピンクリスチン、カルバマゼピン、シクロホスファミド、NSAIDsはADHの分泌、作用に影響を与える。
利尿薬服薬歴、甲状腺機能低下症、副腎不全、SIADHなどを考える。

●低ナトリウム血症の症状

以下のような表が有名である。

血清ナトリウム濃度 症状
130mEq/l以上 一般的には無症状
120〜130mEq/l 軽度の虚脱感や疲労感が出現
110〜120mEq/l 精神錯乱、頭痛、悪心、食思不振
110mEq/l以下 痙攣、昏睡

しかし、臨床的には実際の濃度より進行速度とよく相関することがすることが知られている。とはいえ急変時の重症度をみるには濃度が進行速度と比例するため有効である。

●関連項目



posted by kamiryu07 at 00:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 病名タ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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