髄膜炎(ずいまくえん、Meningitis)とは、脳の髄膜下腔に主に軟膜に炎症が生じた状態。脳膜炎、脳脊髄膜炎とも。
●原因
各年齢層によって異なってくる。
- 乳児 - B群溶血性連鎖球菌、大腸菌、単純ヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、リステリアなど
- 幼児 - インフルエンザ桿菌、単純ヘルペスウイルス、ムンプスウイルスなど。ほかに、ポリオワクチン、MMR(新三種混合ワクチン)などを予防接種後に無菌性髄膜炎になった症例もある。
- 学童期〜成人 - 肺炎球菌、髄膜炎菌
- 高齢者、免疫力低下者 - MRSA、結核菌、真菌など
シドニー大学の寄生虫学教授ジョン・ウォーカー医師の論文によると、ナメクジやカタツムリの粘液性の腹足類動物を食べることによって、感染したというケースが多数報告されているとされている。 さらに、ネズミの肺の中に存在する寄生虫をナメクジやカタツムリの幼虫が運び、それが人間の髄膜炎の原因とされている。
●臨床像
症状
発熱、頭痛、髄膜刺激症状が認められる。悪心・嘔吐も生じる。 neck flexion test, jolt accentuation が感度が高い。 Kernig徴候、羞明、眼球の圧痛などもみられることがある。
所見
- 一般細菌 - 細菌性髄膜炎または化膿性髄膜炎と呼ぶ。脳に細菌が入る事もあり、脳障害になる恐れもある。
腰椎穿刺施行にて得られた脳脊髄液において、菌体を認め、好中球の増加、ブドウ糖の減少を認めることが多い。
症状は最も激烈で、適切な治療が速やかに要求される。
起炎菌は患者年齢によって異なる。
新生児…大腸菌、B群連鎖球菌、リステリアなど。
乳幼児…インフルエンザ菌、肺炎球菌がほとんど。
高齢者、免疫不全患者…肺炎球菌、リステリアのほか、緑膿菌などの髄膜炎が起こることもある。
髄膜炎菌は欧米では重要な起炎菌だが、日本には少ない。
- ウイルス - 年長小児(幼稚園児〜小中学生)に多い。
脳脊髄液では単核球優位の細胞数増加が見られる一方、蛋白やブドウ糖の変化はほとんどない。
原因ウイルスとしてはエコーウイルス、エンテロウイルスなどのエンテロウイルス族のほか、ムンプスウイルスによる流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)に合併することも少なくない。
原因からの治療はできないが、頭痛や嘔吐に対する対症療法を行っていれば、ほとんどの場合自然軽快傾向を示す。死亡したり後遺症を残すことはまれ。
- 結核菌
- 真菌
●治療
細菌、真菌、結核菌による髄膜炎では、速やかに強力な抗菌療法を開始しなければならない。小児の細菌性髄膜炎では、難聴を予防するためにステロイド薬のデキサメサゾンを併用することもある。頭蓋内圧亢進症状が強い場合や、意識障害が見られる場合には、グリセリンやマンニトールなど多糖類の投与で脳浮腫の改善を図る。一方、ウイルス性の髄膜炎は自然軽快傾向を持つため、疾患自体に対する治療は不要であるし、不可能である。嘔吐に対しては絶飲食と輸液、頭痛に対しては鎮痛薬の投与、発熱に対しては解熱剤の投与といった対症療法で苦痛の緩和を図る。
●予防
インフルエンザ桿菌b型(Haemophilus influenzae type b, Hib)による髄膜炎は、Hibワクチンの登場により、諸外国では極めてまれな疾患となった。しかし日本ではHibワクチンが未承認であり、Hibは小児細菌性髄膜炎の最も多い起炎菌である。Hibワクチンは国内でも個人輸入をしている医療機関で接種することが可能である。
肺炎球菌による髄膜炎も、成人免疫不全患者、高齢者に対する肺炎球菌23価ワクチン(こちらは日本でも承認済み)によって予防できる。乳幼児(2歳未満)にはこの 23価ワクチンが無効であるため、乳幼児の肺炎球菌性髄膜炎の予防には多価(最も知られているのは7価)蛋白結合肺炎球菌ワクチンが必要である(国内未承認)。7価の肺炎球菌ワクチンもHib同様、輸入ワクチンを取り扱っている医療機関に申し込むことにより、接種が可能である。
●関連項目
- 脳神経外科学
- 脳炎
- 髄膜炎菌



