ジストニア(dystonia)は中枢神経系の障害による不随意で持続的な筋収縮にかかわる運動障害の総称。姿勢異常や、全身あるいは身体の一部が捻れたり硬直、痙攣といった症状が起きる。日本神経学会の用語では「ジストニー」と表記される。
●特徴
- 常同性
- ジストニアによる姿勢異常や運動パターンは患者毎に常に同じであり、日によって姿勢や痛いところが違う、ということはない。
- 動作特異性
- ある動作をしようとするとジストニアの症状が出る、ということがある。典型的なものが書痙で、字を書く時だけのみ痙攣が起きる、というものである。似たものに職業性ジストニアがある。
- 感覚トリック
- 特定の感覚的な刺激によって症状が軽快することがある。例えば、痙性斜頸で頬に手を当てるだけで首の曲がりが一時的に改善されたり、眼瞼痙攣ではサングラス着用などで光刺激を減らすと症状が改善される等。
- 早朝効果
- ジストニア患者は起床時に症状が軽い、ということがある。
- オーバーフロー現象
- ある動作を行う際、その動きに本来不必要な筋が不随意に収縮する現象。
- フリップフロップ現象
- 症状があるきっかけで急に増悪したり軽快する現象。
●分類
ジストニアは発症年齢、病態、部位によって分類される。
病態による分類
一次性(原発性)ジストニアと二次性(続発性)ジストニアとに大別される。一次性ジストニアとは、他に原因となる要素が見当たらないもの、二次性ジストニアは薬剤性によるものや、遺伝性の神経変性疾患といった他に原因となる要素のあるものを指す。 なお、心因性ジストニアというものもあるが、二次性には含めない。
部位による分類
罹患部位によって局所性ジストニア、全身性ジストニア、分節性ジストニア、多巣性ジストニア、片側性ジストニアに分類される。日本では一次性ジストニアの多くが局所性ジストニアであり、主なものに以下が挙げられる。
- 眼瞼痙攣
- 痙性斜頸
- 書痙
- 痙攣性発声障害
●治療
- 薬物療法
- 内服薬として抗パーキンソン薬や抗不安薬、抗コリン薬が用いられることがある。効果を示す場合もあるが、多くの場合は有効率が低い。
- ボツリヌス療法
- ごく微量のボツリヌストキシンを痙攣の起きている筋肉に注射し筋緊張を緩める治療法。日本の保険制度では他の治療法に比べ高額だが、効果は高い。個人差があるものの、一般的に効果は2日〜1週間で発現し、概ね3〜4ヶ月で減弱する。痛みにも効果がある。
- 神経ブロック
- エタノール、フェノールなどで神経を破壊し人工的に麻痺状態を作ることで、不随意運動を軽減する治療。また、前述の薬品を筋肉内に注射するMAB(muscle afferent block)という治療もある。日本の保険制度においては、ボツリヌス療法に比べ治療費が安いが、多くのデータでは有効率が劣る。
- 手術
- 眼瞼痙攣に対して眼輪筋切截術、痙性斜頸や書痙に対して定位脳手術、淡蒼球に電極を埋め込む脳深部刺激術(DBS)などの手術が適用される場合がある。
- バクロフェン療法
- 体内にポンプを埋め込み、バクロフェンを持続的に髄注する治療法。ボツリヌス療法が局所に対して効果があるのに比し、バクロフェンは全身に効果がある。
●関連項目
- 不随意運動
- 言語障害


